2015年11月27日 |
群馬大「哺乳類の脳機能、分子メカニズム」発見 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:文部科学省 |
群馬大学大学院の芝崎貢志准教授(医学系)は27日、「なぜ哺乳類が高度な脳機能を持つのかという分子メカニズムを発見した」と発表した。 芝崎准教授は先に文科省研究補助金(脳内環境)を受けて「脳内に神経活動を調節できる特殊なアストロサイト集団が存在する」ことを突き止め、米国科学誌に発表した。 同氏は、さらに進んで「脳内の温度は37℃付近で常に一定している。この温度環境が神経活動に影響を与えているのでは」と考えた。温度センサーとして知られるTRPV4分子に注目し、同分子に強く発現する海馬(記憶の形成に必須の脳内器官)を用いて生理学実験を行った。 野生型とTRPV4欠損マウス(20匹ずつ)を用いて、30℃という人工温度環境と、37℃の生理的温度条件下で神経細胞の働き具合を調べた。その結果、30℃では神経細胞の活動に全く差が見られなかったが、37℃条件下では、野生型神経だけに神経細胞の活動性に著しい増加が見られた。 こうした研究の結果「なぜ恒温動物が冷血動物よりも高度な行動(巣作り、子育てなど)が可能なのか、の一端を脳科学的視点、分子レベルで明らかにできた」としている。この研究結果を応用すれば、てんかんの発作を抑える治療方法の開発が可能となる。芝崎准教授は「劇的な治療効果に結びつくことを確信している」としている。 同研究成果は欧州生理学誌「Pflugers Archiv(フリューガーズ アーカイブ)12月号に掲載された。 |