2015年11月27日
理研と東大、乾燥による葉の黄化防止遺伝子を解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所、東京大学

理化学研究所は27日、東京大学大学院、国際農林水産業研究センターとの共同研究グループが、長期の乾燥による植物の葉の黄化を制御する遺伝子を発見したと発表した。

植物ホルモンのアプシジン酸(ABA)は、水分不足などによる乾燥ストレス時に葉に蓄積し、植物が乾燥ストレス耐性を獲得する過程で重要な役割を担う。一方、ABAの長期処理は葉緑素(クロロフィル)の分解を引き起こし、葉の黄化を促すことが知られている。しかし、この生理応答(外部からの刺激に対する生体の適応反応)の詳細なメカニズムは明らかになっていない。

共同研究グループは今回、植物に特異的な転写因子の1つであるNAC(NAN、ATAF and CUC)遺伝子に着目した。
NAC遺伝子は、モデル植物であるシロイヌナズナにおいて少なくとも100以上の遺伝子で構成される大規模な遺伝子ファミリーを作る。そこでNAC遺伝子群の中で、ストレス応答に関わる7つのNAC遺伝子(SNAC-As)に焦点を絞った。SNAC-As遺伝子をすべて壊した7重変異体を作製し、詳細に解析を行った結果、SNAC-As転写因子群がABA処理条件において、黄化に関わる遺伝子(SAG26、ATH8)を制御して、クロロフィルの分解を引き起こしていることを突き止めた。
同研究成果は、長期にわたる乾燥ストレスによる植物の黄化を制御し、作物の品質や収量の改良につながると期待される。