2015年12月03日
京大など、有機薄膜太陽電池のエネルギー損失を低減
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所、京都大学

理化学研究所と京都大学は3日、新しく開発した半導体ポリマーを用いることで、有機薄膜太陽電池の光エネルギー損失を無機太陽電池と同程度まで低減することに成功したと発表した。

有機薄膜太陽電池の実用化には、エネルギー変換効率(太陽光エネルギーを電力に変換する効率)の向上が最重要課題となっている。しかし、一般的に有機薄膜太陽電池は光エネルギー損失が無機太陽電池に比べて大きいため、吸収できる太陽光エネルギーに対して出力できる電圧が低くなり、高効率化の妨げになっていた。

共同研究チームは、新しく開発した半導体ポリマー(PNOz4T)を用いることで、有機薄膜太陽電池の光エネルギー損失を無機太陽電池並みにまで低減した。エネルギー変換効率も最大で9%と、有機薄膜太陽電池としては非常に高い値を示した。

また同薄膜を分光法で解析した結果、薄膜を改善することでエネルギー変換効率がさらに向上する余地があることもわかった。共同研究チームは、実用化レベルのエネルギー変換効率15%も実現可能とみている。2016年度中にまず12%達成を目指す。