2015年12月04日
名大など、強レーザーで量子状態の超高速操作に成功
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:理化学研究所、名古屋大学

名古屋大学(松本邦弘教授)、電気通信大学(森下亨准教授)、富山大学(彦坂泰正工場)、理化学研究所と高輝度光科学研究センターの共同研究チームはこのほど「超高速2光子ラビ振動の観測」に成功したと発表した。

レーザー光のようなコヒーレント(干渉しやすい)な光を物質に照射すると、量子状態の「重ね合わせ」が生じ、これを利用して2つの状態間を100%近い効率で極めて高速に行き来させることができる。ラビ(Rabi)と呼ばれる現象で、基礎的な物理過程であると同時に化学反応の制御や量子コンピュータなどの量子操作技術の基幹の過程となる。この光技術は1光子から多光子過程へ拡張されているが、これまでのところ最も単純な2光子過程の場合でさえその状態操作には最短でもピコ秒(1兆分の1秒)程度の時間を要している。

今回、研究グループは、極紫外自由電子レザーと近赤外域の高強度フェムト秒(1000兆分の1秒)レーザーを用い、強レーザー場における共鳴現象を利用することで2光子吸収による物質状態操作を従来に比べて3けた近くも速い、50兆分の1秒程度の極めて短い時間内で行うことに成功した。
今後、化学反応制御や室温における量子コンピュータの量子状態操作などの基盤技術として役立つことが期待される。

研究成果は英国科学誌「Nature Photonics」に掲載。