2000年09月29日
旭化成、ANの輸出価格引き上げを本格検討
原料高騰、需給もショート化進む
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:旭化成

 旭化成工業はAN(アクリロニトリル)の4Qの輸出価格について、原料高騰から採算悪化が進んでいることから、引き上げについての本格検討を開始した。
 ANの輸出価格は、9月分でCFR・トン950~990ドル水準となっており、10月上期分についても同水準となっている。しかし、予想以上にナフサ価格が高騰しており、アンモニアについても一時200ドルを超えるなど原料のコストアップが進んでおり、採算是正が求められる状況となってきている。
 また、需給面でも中国、インド、パキスタンなどを中心に繊維向けが好調に推移しており、国内外ともにタイト状態が続いている。新増設計画では、台湾・FPCが今年7月に製造設備を完成させ稼働を開始しているものの、廃液処理工程の不都合から安定稼働に至っておらず、本格稼働は年末までずれ込むものと見られている。アメリカのソルーシアも好調な景気から建設要因不足から工事が遅れており、稼働開始は10月末から11月始めになるとされている。
 さらに同社では、10月から11月にかけて川崎製造所の年産15万トン設備の定修を実施するが、水島製造所でも11月の1ヶ月間、年産5万トン分をMAN製造のためAN生産を一時的に取りやめるため、大幅に供給力の減少が見込まれている。同社は当面、玉繰りに追われる状況が続くものとしており、需給はしばらくショート状態で推移する公算が大きいと見ている。