2015年12月09日
三菱ケミカル・新中計 20年度営業利益3400億円
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三菱ケミカルホールディングス

三菱ケミカルホールディングスは9日、2016年度を起点とする5カ年中計「APTSIS 20」を策定したと発表した。この中で、あるべき姿として「収益性の向上、イノベーションの追求、サスティナビィリティへの貢献」を挙げ、「技術革新の加速やデジタル化、ロボット化などの社会・経済環境の変化にも対応」しながら、高成長・高収益型企業グループをめざすとした。

2020年度の数値目標として、売上高4.7兆円(15年度見込み3.9兆円)、営業利益3,400億円(2,480億円)を達成する。財務指標(MOE)としては、IFRSベースで(1)コア営業利益:3,800億円(2)ROS:8%(3)親会社株主帰属当期純利益:1,800億円(4)ROE:12%(5)NetD/E:0.8を掲げた。日本基準ではROS:7%、ROE11%となる。

営業利益3,400億円確保の要因としてM&Aによる200億円、統合効果200億円、オーガニックグロース320億円を挙げたほか合理化によるk栖削減効果500億円を見込んだ。

設備投資は、成長投資として1兆円、R&D投資として7,000億円を投入する。成長投資1兆円のうち、5,000億円は成長のための設備投資、残りの5,000億円はM&Aなどの戦略投資に充てる。

グローバル展開にも注力する。現在43%の海外売上高比率を50%に拡大する。需要が増大するASEAN、インド市場及び世界経済に占める存在感の大きい中国市場に高機能商品や素材分野の事業を投入する。

同社の越智仁社長は席上、2017年4月1日付で三菱化学、三菱レイヨン、三菱樹脂の3社を統合し、インテグレーションの効果を最大限発現させると発表した。
三菱ケミカルHDは、4社(統合新会社、田辺三菱製薬、生命科学インスティテュート、大陽日酸)の純粋持株会社として、グループ経営に取り組むことになる。

事業領域は、大きく分けて「機能商品」「素材」「ヘルスケア」の3事業。
グループ全体で13の事業ユニットと5つの次世代事業に分けポートフォリオを構成する。
「成長事業」には高機能ポリマー、フィルムなどの高機能商品のほか新エネルギー(リチウムイオン電池など)、医療用医薬品、ライフサイエンスなどをあて、持続的成長と収益力強化を図る。「再構築事業」にはとくにPTAを挙げ、「現在、抜本的な対策を検討しているところだ」とした。

■越智仁社長の話
2015年度に終了する今中計は目標達成率85~90%というところだ。今後はさらに高成長・高収益企業を目指す。海外事業の収益性強化が必要だ。現在43%の海外売上高比率を50%に拡大する。機能商品、素材、ヘルスケア3分野の均衡ある発展を図ることも大切だが、事業戦略と財務戦略を両輪としたROE経営の実践も重要だ。現在6%のROEは10%以上を確保したい。


ニュースリリース参照

新中期経営計画「APTSIS20」の策定について
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1449634275.pdf