2015年12月11日
昭和電工・新中計「個性派事業」大幅拡大へ
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:昭和電工
市川秀夫社長

昭和電工は11日、2016年から2020年までの5カ年中期経営計画「Project2020+」を策定したと発表した。
基本戦略として、個性派事業比率を現在の3割から5割、海外売上高比率を4割から6割に拡大する。
数値目標としては、2018年の売上高8,550億円(2015年見込み7,850億円)、営業利益570億円(同340億円)、純利益300億円(同70億円)、またROA:6%(同3%)、ROE:9%(同2%)を目指す。

これらの目標を達成するため、事業ポートフォリオを見直し、区分ごとにミッションを定めて事業強化を図る。
(1)成長加速事業 :電子材料用高純度ガス、機能性化学品、アルミ缶の3事業に戦略的施策を遂行し、急速な拡大を実現する。
(2)優位確立事業 :リチウムイオン電池(LIB)材料、パワー半導体SiCの両事業に競争優位なビジネスモデルを確立する。
(3)基盤強化事業 :ハードディスク(HD)、黒鉛電極、石油化学など。市況変動への抵抗力を向上させ、安定した利益・キャッシュフローを創出する。
(4)再構築事業 :レアアース、セラミックス、アルミ機能部材。

またM&Aや事業提携などを推進し、新たな成長事業を外部から組み入れる。成長著しいアジア・ASEANを中心に戦略的投資を行う。

設備投資計画は2016年~18年の3年間で1300億円。コアとなる「成長加速」「有意確立」の両分野に重点を置き、収益基盤の強化と個性派事業の拡大を推進する。

コストダウン戦略では、3年間で総額200億円のコストダウンを実現する。そのうちの75%がハードディスクの収益向上や黒鉛電極・原燃料のコスト低減、石化のエネルギー原単位向上など「基盤化」が占める。
財務体質の改善として、D/Eレシオを2015年末の1・2倍から2018年末には1・0倍に改善する。

■市川秀夫社長の話
2011年から5年間の計画として進めてきた現中計(ペガサス)は大震災の影響などもあり目標未達に終わったが、その反省を踏まえて新中計を策定した。石油化学事業でいえば、大分のエチレンプラントはフル稼働が続いている。アジア地域のエチレンは2018年までタイトバランスと予想されている。原料など先行き不透明な問題は多いが、隣接企業との連携を強化し、アジア最強レベルのエチレンプラント競争力は堅持していきたい。激化する国際情勢の中で、(海外の大手メーカーと)規模で勝負していくようなことはしない。幅広く強靱な個性派事業をいくつも持ち、市場を絶えずリードしていく企業グループを目指したい。