2015年12月24日
理研、植物の耐塩性を高める化合物を発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所は24日、植物の塩排出能を高め、耐塩性を強化する化合物を発見したと発表した。
塩害は世界の灌漑農地の約20%で発生し、農作物の生育に大きな被害をもたらしている。持続的な食料生産の実現に向けて、耐塩性など植物の環境適応能力を高める技術が求められている。

理研では、塩ストレスなどの環境ストレスによって変化するエピジェネティック修飾の制御に関わる化合物に着目した。モデル植物であるシロイヌナマズを対象に、耐塩性を強化するエピジェネティック修飾の阻害剤を探索した。

その結果、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤である「KY‐2」が植物の耐塩性を強化することを発見した。HDAC阻害剤は、ナトリウムイオンの排出に機能するAtSOS1遺伝子の発現を誘導し、その結果、塩排出能が高まり、耐塩性が強化されることを突き止めた。

この研究成果は、植物に散布するだけで耐塩性を強化でき、塩害で収穫できない農地での農作物の収量増加につながることが期待できる。