2000年09月28日
出光石化、高転写ブロー成形技術「出光Jブロー」を開発
第5の加工技術としてライセンス活動をスタート
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:JSR

 出光石油化学は28日、同社が保有しているGIM、IPM、UIM、IEMに続く第5の加工技術として、高転写ブロー成形技術「出光Jブロー」をラインアップに加え、技術ライセンス活動を開始した、と発表した。
 これは、ABS樹脂などの非結晶性樹脂の高転写ブロー技術としてJSRが開発、特許を有しているもので、出光石化は同社との共同開発によりポリオレフィンやPC(ポリカーボネート)など結晶性の樹脂に適用できるように改良したもの。今回、JSRから基本特許の再実施権を取得し、出光石化が全樹脂を対象にライセンス活動を行うことになった。
 出光Jブローは、独自の金型(薄キャビティーにジャケット構造)とスチーム・水・エアーを用いた温度制御システムにより、高転写やハイサイクル成形が可能なブロー成形技術。ジャケット構造金型は、金型ブロックにパイプ上の熱媒体を通す穴を空けた構造をもつ通常の中空成形用金型とことなり、金型ブロックが大きな空洞になっており、ここにスチーム・水・エアーを通すことで、効率よく金型温度の制御ができる。
 特長としては、(1)通常の成形サイクルでも金型表面を忠実に転写でき、従来技術では困難であった良好なシボ表面や鏡面状のブロー製品を製造できる、(2)金型の熱交換効率に優れ、金型温度の昇温・降温速度が速く、高温金型成形におけるハイサイクル化が可能、(3)外観が良好なため着色原料で成形することにより、塗装工程が不要となり、環境負荷の軽減、コストダウンが可能、などが挙げられる。また適用分野としては、自動車では樹脂バンパーやエアースポイラー、内装部品など、住宅設備製品ではバス、キッチン、トイレなど水廻り製品の部品などを考えている。
 出光石化では、最近用途開発が進んでいるこれら自動車分野および住宅設備分野のブロー成形用途開発に活用できる差別化技術として、注力していく方針。

【この他の出光石油化学の加工技術】
GIM(Gas assisted Injection Molding)…充填過程の樹脂中に窒素ガスを注入して中空部を形成し、ヒケやソリの低減に降下を発揮する低圧射出成形法。
 IPM(Injection Press Molding)…射出圧縮成形技術で、製品の薄肉・軽量化やソリ低減・表皮一体成形などに優れた効果を発揮する。
 UIM(Ultrasonic Injection Molding)…超音波振動を利用した射出成形技術で、流動性の向上や転写性の向上が可能な精密射出成形技術。
 IEM(Injection Expanded Molding)…長繊維GFPP(モストロンL)のスプリングバック特性とコアバック成形を組み合わせた膨張成形技術で、低密度で高剛性の製品を得ることができる。

<参考>出光Jブローのプロセス
http://c-nt.co.jp/news/idmjblow.jpg>