2016年01月05日 |
東大と理研、植物の高温に対する初期応答メカニズム解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:理化学研究所、東京大学 |
東京大学と理化学研究所は5日、共同研究グループが植物の高温ストレスに対する初期段階の応答の制御機構を分子レベルで解明したと発表した。作物の高温ストレス耐性を向上させる技術開発への貢献が期待される。 植物は環境の変化に適応するため、状況に応じてさまざまな遺伝子を活性化する。とくに高温ストレスに対する適応では、マスター転写因子であるHsfA1が活性化することで、熱ショックタンパク質(HSP)や種々の転写因子の発現が起こる。しかし、高温ストレス時にHsfA1が活性化するメカニズムや、HsfA1の活性化だけで植物中で起こるすべての高温ストレス応答を引き起こすことができるのかは、分かっていなかった。 今回、共同研究グループは、HsfA1内のリージョン1と名付けた領域がHsfA1自身の活性を抑える働きを持つことを明らかにした。 リージョン1を取り除いたHsfA1は、恒常的に高い活性を持ち、同因子を多く作らせた植物は高い高温ストレス耐性を示した。 ただ、高温ストレス応答を部分的にしか引き起こさないため、完全な高温ストレス応答の誘導にはHsfA1だけでなく、他にも必要な因子が存在することが示された。同研究は、植物に効果的に高温ストレス耐性を付与する技術の開発に貢献すると期待される。 論文は雑誌「The Plant Cell」に掲載。 |