2016年01月13日 |
東北大など、塩害に負けない大豆の遺伝子発見 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東北大学、北海道大学 |
国際農林水産業研究センター(JIRCAS)は12日、北海道大学、東北大学、中国新疆農業科学院と共同でブラジルの大豆品種(FT-Abyara)から耐塩性を調節する遺伝子(Ncl遺伝子)を発見し、その効果を明らかにしたと発表した。この遺伝子は大豆の植物体内でNa+(ナトリウムイオン)、K+(カリウムイオン)、CI-(塩素イオン)の輸送と蓄積を同時に調節することが分かった。 大豆は世界で最も重要なマメ科作物で、消費量は2000年の1.7億トンから2014年には3.0億トンに増加している。主要な油脂原料およびタンパク質源としてその利用も多岐にわたり、世界の植物供給量の約3割、高タンパク質飼料供給量の約7割を担っている。 だが、イネやトウモロコシに比べて生産性は低く、干ばつ、塩害、低温などさまざまな環境ストレスの影響を受けやすい。土壌中の塩によるストレスは大豆の発芽と成長、根粒の形成および子実生産を阻害する。 今回の研究で、塩害畑でNcl遺伝子を持つ大豆が高い収穫を維持することが確認された。 従来の交配手法で同遺伝子を既存の大豆品種に持たせ、耐塩性大豆品種の開発が期待できる。 この遺伝子は旧名qNacl3で、2014年2月に特許出願(日本)、同年11月に登録された。 研究成果は16年1月8日付の英国科学誌Scientific Reportsのオンライン版に掲載された。 |