2016年01月18日
理研と熊大、エイズウイルス感染メカニズム解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所は18日、熊本大学との共同研究グループが、エイズ原因ウイルス(HIV-1)が細胞から細胞へと感染拡大する際の新たなメカニズムを解明したと発表した。

細胞膜の細い管である細胞膜ナノチューブ(TNT)は、離れた2つの細胞同士を連結することで、細胞間の素早い物質交換を可能とする手段として知られている。理研の研究グループはは2009年に、M-secという分子がTNTの形成因子であることを発見した。
だが、HIV-1が感染拡大していく経路には、一度HIV-1が感染細胞の外に出て周囲の未感染細胞に感染する経路のほかに、TNTを介してHIV-1が感染細胞から未感染細胞に移る経路が知られているが、そのメカニズムは明らかにされていなかった。

共同研究グループは今回、HIV-1がTNTの形成を促進することでTNTを介した細胞間感染の効率を上げていること、さらに、TNTの形成を抑制する化合物によりHIV-1の細胞間感染が約半分に抑えられることを発見した。TNTの形成を抑制する化合物を応用することで、これまでの薬剤とは異なる作用メカニズムに基づく新たな抗エイズ薬の開発が期待される。