2000年09月27日 |
BASF、A&P地域で利益ある成長目指し今後も積極展開 |
50億ユーロの投資で現地生産比率は60%に上昇 |
【カテゴリー】:経営 【関連企業・団体】:BASF、日本油脂、三菱化学 |
独BASFのアジア地域総括を担当するユルゲン・ハンブレヒト専務がこのほど来日、BASFジャパンのディートマー・ニッセン社長とともに会見し、利益ある成長を目指した今後の事業展開などについて語った。同社はすでに今後5年間でアジア太平洋地域(A&P)に50億ユーロを投資する方針を打ち出しているが、これらの投資によりA&Pにおける現地生産比率は60%近くまで上昇する見通しだ。 A&PにおけるBASFの売上高は、2000年上半期で22億9,800万ユーロと前年同期に比べ35%増加、営業利益は1億2,300万ユーロと173%の増加を記録した。ハンブレヒト専務は、「売上高に対する現地生産比率は43%にとどまっており、満足できる数字ではないが、A&Pは利益をともなう成長をしていることは重要だ」と語った。同社は、1997年にA&Pにおける長期戦略として、(1)アジア市場において、コア製品ではトップ5社に入る、(2)BASF全体の化学品事業の売上高および利益の20%をA&Pで稼ぎ出す、(3)2010年までに現地生産比率を70%に拡大する(4)A&P地域における化学事業で、ベストチームを作る、などを挙げている。 このような戦略のもと、BASFは今後様々な施策に取り組み2006~2007年をめどにROCE(総資本利益率)10%以上を達成するという目標を掲げている。またBASFは、目標実現のために今後5年間でA&Pに50億ユーロを投資する方針を明らかにしている。主な案件はマレーシア・クアンタンおよび中国・南京におけるフェアブント(Verbund、ドイツ語でネットワーク、統合の意)拠点の構築、シンガポールにおけるSM/PO併産設備建設、中国・CaojingにおけるTDI(トルイレンジイソシアネート)/MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)設備建設、韓国・麗水における投資などがあり、これらの計画が全て完成、稼動する2005年には、「A&Pの現地生産比率は50%を超え、60%近くなる」(ハンブレヒト専務)と予想している。 マレーシアでは、アクリル酸設備が稼動したのに続いて、今後オキソアルコールやブタンジオール、無水フタル酸、可塑剤などの新設を計画している。また韓国・麗水では、現在MDI年産10万トン設備が稼動しているが、2003年をめどにMDI6万トン増設、TDI10万トンやニトロベンゼン、アニリンなどの新設を計画中。 またBASFは、A&Pにおいて事業の買収や統合を積極的に進めてきた。特に日本では、昨年武田製薬子会社の武田化学飼料を買収したほか、今年に入って武田製薬のバルクビタミン事業を買収、日本油脂との塗料事業統合、近く完了を予定しているアメリカンサイアナミッド社の農薬事業買収にともなう日本サイアナミッドの統合など新たなパートナーシップの構築に取り組む一方、三菱化学BASFの再編やBASFポリウレタンエラストマ-ズの設立、日清BASFの解散などに取り組み、来年には三井BASF染料の保有株式をダイスタージャパンへ移転することも進めている。これらの結果、日本におけるBASFは、1997年に14社(うち折半出資会社11社)だったものが、今年末には9社(同4社)となり、来年には新たな提携、買収で獲得した事業の売上高が全体の30%を占める見通しとなっている。現地生産比率70%以上という目標は、日本も対象となっており、「来年には54%に拡大する」(ニッセン社長)と予想している。 ニッセン社長は、「日本では汎用品には投資せず、スペシャリティ製品に投資していく戦略を進めていく。武田薬品や日本油脂との新たなパートナーシップにより、来年以降は健康・栄養部門および染料部門の比率が高まるだろう。2000年には2桁の増収、2001年にはこれをさらに上回る増収を見込んでいる」と語った。 |