2016年01月19日
理研、上皮細胞の微小管配向の謎を解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所多細胞システム形成研究センターは19日、細胞生物学分野で1989年の発見以来謎だった、上皮細胞に特有な微小管の配向の仕組みを解明し、その細胞構築における役割を解明したと発表した。

上皮細胞は多くの臓器の主成分で、細胞内物質の分泌や細胞外からの物質の吸収など重要な働きをしている。その構造的特徴の1つは細胞の上(頂端面)、下(基底面)という極性を持つこと。極性は上皮の機能を発揮するために必須だが、その形成機構はよくわかっていなかった。細胞骨格の1つ、微小管が上皮細胞の頂端―基底軸に沿って配向することは知られているが、その仕組みも謎だった。

理研研究グループは、STED超解像顕微鏡を用いて、マウス小腸の上皮細胞を観察した。その結果、2008年に同グループが発見した微小管結合タンパク質が頂端部に局在すると同時に、微小管の端に結合していることがわかった。
また、遺伝子操作で変質マウスを作製し野生型と比較したところ、マウスと腸由来の培養細胞株を使った実験で、上皮細胞に特有の微小管の配向は、上皮細胞の高さを維持し、核などの細胞内小器官を正しい位置に置くために必須であることもわかった。

今後、このマウスのさらなる解析によって、微小管に依存した細胞内構造の制御と生理機能や体全体の健康維持との関係などが明らかになると期待される。