2016年01月20日

東レ、炭素繊維強化樹脂の耐衝撃性を大幅向上

【カテゴリー】：新製品/新技術 【関連企業・団体】：東レ

東レは20日、炭素繊維と柔軟な異種繊維を併用（ハイブリッド）して、強度や剛性を高いレベルで維持しながら耐衝撃性を大幅に向上させた射出成形用の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック（CFRP）を開発したと発表した。 既存の射出成形機を用いて成形できるほか、各種インサート成形など複合成形への対応も可能。軽量化・高性能化に貢献できる材料として、今後さらに重要となる自動車・航空機などの輸送機器や家電・モバイル製品などの用途に向けて開発を急ぐ。2年以内の実用化を目指す。 一般に射出成形で得られるCFRPの耐衝撃性は、含まれる炭素繊維の繊維長に大きく依存し、繊維長が長いほど耐衝撃性が高くなる。そのため、自動車部品など耐衝撃性が求められる用途では、炭素繊維の長繊維ペレットが用いられている。だが、炭素繊維は硬いため破損しやすく、成形品で十分な繊維長を維持することが困難だった。 東レは今回、長繊維ペレット（TLP）に炭素繊維よりも柔軟な異種繊維を併用することで、高い強度や剛性を維持しながら、耐衝撃性を大幅に高めることに成功した。柔軟な異種繊維が折損しにくく、成形品中で炭素繊維よりも2倍以上長く残存することで、耐衝撃性の向上を実現した。 通常添加されるゴムなどのエラストマーを用いないため、0℃以下の低温でも室内同等の耐衝撃強度を維持できるほか、荷重時でも時間経過により変形しにくい（クリープ特性に優れる）などの特徴も有する。 同社は、1月27-29日に東京ビッグサイトで開催される「第15回ナノテクノロジー総合展・技術会議」に同製品を出展する。