2016年02月17日
東レ、ナイロン樹脂の高温耐久性能を大幅向上
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東レ

東レは17日、ナイロン(ポリアミド)樹脂が本来有する靱性や機械強度を維持しながら、高温耐久性を飛躍的に向上した高性能ナイロン樹脂の開発に成功したと発表した。

ナイロン樹脂に独自の耐久性向上剤をナノ分散し、高温処理時に生成する劣化物を化学的に捕捉して劣化の原因となる酸素を遮断する強固なシールド層を成形品表層に形成することで、成形品内部の酸化分解抑制を実現した。
今後1年以内の本格販売を目指し、高温耐久性への要求が高まる自動車のエンジン、モーター周辺部材をはじめ、従来よりも高い耐久性が必要とされる工業材料分野に向けて幅広く用途開発を進めていく方針である。

同社は今回、ナイロン樹脂本来の特徴を活かしつつ、高温耐久性の向上を実現する新手法の開発に取り組んだ。ナイロン樹脂に新たに設計した耐久性向上剤をナノスケールで分散する。熱によって生成したナイロン樹脂由来の劣化物を耐久性向上剤が高効率に捕捉し、成形品表面に強固なシールド層を形成する。劣化要因である酸素の侵入をシールド層で遮断し、成形品内部の酸素分解を抑制するという新しい手法を開発した。

これまで困難だった200℃以上の高温領域でも高い耐久性能を実現した。この手法は、ナイロン樹脂の種類にかかわらず適用可能である。同社のポリエチレンフェニレンサルファイド(PPS)樹脂とナイロン樹脂の中間領域の耐久温度を補完できるとして、すでに一部用途で採用が決まっている。