2016年02月19日 |
日立造船「全固体リチウムイオン二次電池」開発 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:日立造船 |
日立造船は18日、硫化物系固体電解質を使用した「全固体リチウムイオン電池」を開発したと発表した。現在のリチウムイオン二次電池は電池内部が電解液で満たされており、耐久性や安全性に課題があるが、今回開発した電池は、電解質に固体を使用した独自技術のリチウムイオン二次電池で耐久性に優れる。直列・並列積層が可能で、性能面でも従来の電解液系リチウムイオン二次電池と同等であることを確認している。 3月2日~4日、東京ビッグサイトで開催される「国際二次電池展」に出展する。 ■全固体リチウムイオン二次電池の特徴 (1)大気圧下での充放電が可能 :独自の薄層成膜、加圧成型技術により材料粒子間のイオン伝導性を向上させることで、機械的加圧なしでの充放電が可能となった。 (2)フラット化により積層が可能 :電池本体部分の厚さは約0.3ミリのフラットな形状。電解液系リチウムイオン二次電池と比較して、小型化が可能である。 (3)広い温度環境で使用可能 :摂氏マイナス40度からプラス100度までの充放電を確認済み。厳しい環境下で使用できる。 (4)長寿命 :室温で充放電サイクルテストを実施したところ、100回で容量維持率98%、400回で96%を実現した。一般的な使用のもとで90%以上の容量維持率を約7年間保つことができる。 ■二次電池の試作と用途開発 同社はすでに100ミリ×100ミリ×厚さ0.3ミリ(電池パッケージを含まず)の薄膜電池を試作、本田技研研究所など複数の企業、研究機関に評価を依頼中だ。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「革新的蓄電池技術の実現」案件にも採択された。2017年度中のサンプル提供を目指す。 用途としては、電気自動車、滅菌加熱が必要な医療機器の電源、長寿命を要する定置型蓄電池、宇宙・深海など極限環境下で使用する機器類などを見込む。 |