2016年02月19日
理研、放射性廃棄物の破砕反応データ取得に成功
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所は19日、重イオン加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)」を用いて、放射性廃棄物の主要な成分であるセシウム-137とストロンチウム-90を不安定核ビームとして取り出し、破砕反応のデータ取得に世界で初めて成功したと発表した。

原子力発電所などで生じる放射性廃棄物の処理問題は、日本だけでなく世界的な課題となっている。それを解決するには、長寿命の放射性核種を安定核種または短寿命核種に効率よく核変換し、放射能を弱める方法を開発することが必要となる。そのためには開発の基礎となる核反応データの取得は重要となる。

理研が着目したセシウム-137(Cs)とストロンチウム-90(Sr)は、熱中性子捕獲反応では核変換しにくいことから、核変換の反応として、陽子と重陽子を照射することにより、放射性核種を壊す反応(破砕反応)を考えた。
その結果、研究チームは、RIBFを用いてCsとSrをビームにし、陽子と重陽子を標的にして照射する逆反応を利用してデータを取得することに成功した。

同研究成果は文部科学省の委託費によって得られた。
欧州の科学雑誌「Physics Letters B」のオンライン版で公開され、3月10日号に掲載される。