2016年03月02日
東北大、リチウムイオン電池からイオン制御可能な磁石を創出
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東北大学

東北大学金属材料研究所の谷口耕治准教授らは1日、リチウムイオン電池に金属錯体系分子材料を電極として組み込むことで、人工的にイオン制御可能な磁石を創り出すことに成功したと発表した。

本来は磁石ではない物質を、イオン挿入という電気的な手法で人工的に磁石に変え得ることを示した初めての例で、新しい機能性磁石の設計指針を与えるものとして注目される。また今後、リチウムイオン電池の可逆的な充放電機能を利用することで、電気的にスイッチング可能な磁気デバイスの創出につながることが期待される。

リチウムイオン電池のイオン挿入機能を介して、電極材料中の金属錯体と連結した非磁性の分子に電子を導入し、磁気モーメントを付与することで、物質全体に磁石としての性質を発現させた。さらに電池の放電状態を制御することで、磁気相転移温度を変化させることにも成功した。

“磁石でない物質を磁石に変換する”報告は今までになかった。これが電気的に出来れば、人工格子をもつ新たな磁性材料の開発だけでなく、放電寿命に応じて磁石の性質を発現するようになる磁石変換可能な電池や、新しい電気制御型磁気スイッチの創製が可能になる。

同研究成果は近く、ドイツ化学会誌「Angewandte Chemie International Edition」から公開される。