2016年03月16日
理研、有機ケイ素化合物の新しい合成法開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所は15日、「芳香族ケイ素化合物」を、単純な「有機ホウ素化合物」のみを触媒として効率的に合成する、新しい手法の開発に成功したと発表した。この手法は、金属やその他の添加物を一切使用しない、環境に優しい省資源型の反応といえる。

芳香族ケイ素化合物は、有機エレクトロニクス、医薬品、材料合成などの分野で幅広く用いられている。主に遷移金属触媒を用いた芳香族化合物のケイ素化反応によって合成されている。しかし、この方法だと触媒に使用した金属が残る場合がある。とくに、有機エレクトロニクス材料や医薬品合成の分野では、生成物からの残留金属の除去がコスト面で課題となるる。金属触媒を用いない芳香族ケイ素化合物の効率的な合成手法が求められていた。
理研の研究チームはこれまで、金属触媒を用いた芳香族化合物のケイ化反応について研究を進めていた。その過程で、ベンゼン環にジアルキルアミノ基NR2が結合した化合物類であるアニリン類のケイ素化反応を検討していたところ、金属を使わず、有機ホウ素化合物だけを触媒として用いてケイ素化反応が効率的に進行することを発見した。
この手法によって、さまざまな官能基を持つ有機ケイ素アニリン誘導体や、従来の金属触媒では合成が難しかった

有機ケイ素化合物を簡便に合成できることが明らかになった。今後、環境に優しい省資源型の効率的な有機ケイ素化合物の合成手法として、工業的な応用が期待できる。

この研究成果は、米国化学会(ACS)誌「Journal of the American Society」のオンライン版(日本時間3月10日)に掲載された。