2000年09月21日
透明ABS樹脂、クリスマス商戦控え需給はさらにタイト化へ
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:なし

 ABS樹脂の透明グレードは、依然需要が衰えず、極めてタイトな状態で推移している。いわゆるスケルトンブームの衰退を危惧する声もあったが、中国市場では、これからクリスマス商戦に向けた米国の玩具向けが需要期に入ることから、さらにタイトな状況が続く見通しだ。
 ABS樹脂の透明グレードはこれまで、一部を除くとほぼ日本のメーカーが独占してきた。ただし、汎用グレードに比べトータルの重合時間が長いことなどから、大幅な増産は難しく、タイトな状態が続いており、アジア市況でも汎用グレードに比べ数百ドル高い水準で取り引きされている。
 こうした状況のもと、今春には世界最大のABS樹脂メーカーである奇美実業が透明グレードに参入、国内メーカーの中には需給の軟化にともなう市況の下落を懸念する声も聞かれたが、実際には予想を上回る引き合いが続いており、各社とも生産が追いつかないのが現状で、市況は高水準で推移している。
 新規参入した奇美実業のほかにも、国内で増強を実施したメーカーもあるもようだが、スケルトンブームは依然として加熱状態にあり、中国のユーザーの中には「オフスペック品でもかまわないから(玉が)欲しい」という声も聞かれ、当分玉不足の解消は困難な見通しだ。