2016年03月24日
名大、植物の体内時計を調整する遺伝子発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:名古屋大学

名古屋大学は、名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(ITbM)の中道範人・准教授らの研究グループが、朝に生まれる植物の時計タンパク質の標的遺伝子群を発見することに成功したと発表した。

地球の自転に伴う昼夜変化に適応するために、多くの生物は遺伝子に組み込まれた既日時計(体内時計)を持っている。中道准教授らの研究グループは、植物の体内時計に関わる遺伝子の解明を目指しているが、今回、午後に生まれる時計遺伝子の時刻を調整する因子の探索を行ったところ、朝の時計タンパク質が午後の時計遺伝子の調節を行っていることを実証した。このタンパクが直接作用する遺伝子群を見つけることにも成功した。

発見した遺伝子群の中には、乾燥ストレスへの応答、植物ホルモンの信号伝達、気孔の開閉運動、植物が出すワックスの合成など、植物体が環境に応答し、より優れた個体を形成するための鍵となる遺伝子群を含んでいることが分かった。これらの遺伝子群は、午後から夕方にかけて最も活性化していることもつかんだ。

これまで、多くの穀物において、体内時計や時計に制御される生理現象を改変した品種が選抜されてきた。今回の発見によって将来、植物の体内時計を自在に調整することが可能になり、より優れた品種の選抜につながることが期待される。
この研究成果は、米国の植物科学専門誌「The Plant Cell」3月号に掲載される。