2016年03月25日 |
遺伝研、ヒト細胞内タンパク質の分解除去法開発 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:科学技術振興機構 |
科学技術振興機構(JST)は25日、情報・システム研究機構国立遺伝学研究所の鐘卷将人准教授らのグループが、「ヒト培養細胞」で特定のタンパク質を素早く分解除去する方法を開発したと発表した。これまで、モデル生物でしかできなかった精緻な遺伝学研究が、ヒト細胞でもできるようになる画期的な手法としている。 今回利用したのは、同グループが2009年に開発した「AID法」というタンパク質分解除去システムである。これは、動物細胞の特定のタンパク質を分解除去し、そのタンパク質を司る遺伝子の役割を解析できるシステムである。今回、このシステムをヒト細胞にも導入できるよう、ゲノム編集技術を応用し、ヒト細胞内のタンパク質の分解除去を自在に操ることに成功した。 今回開発した手法を使うと、これまで数日を要していたタンパク質の分解除去が、1時間程度で行えるようになり、細胞分裂や増殖などの、細胞の基本現象に与える影響を直接観察することが可能になる。また、新技術では、分解除去のタイミングも任意に設定できるため、今までの技術では解明が難しかった、生存に不可欠な「必須遺伝子」の機能解析ができるようになる。 今後、がん細胞を含めた、ヒト細胞が増殖するための仕組みの解明が進むことが期待される。 今回の研究成果は、今年3月24日(米国東部時間)に米国科学誌Cell Reportsオンライン版に掲載される。 |