2016年04月08日
名大、植物の受精効率を高める糖鎖を発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:科学技術振興機構、名古屋大学

科学技術振興機構(JST)は8日、名古屋大学と愛知学院大学の研究グループが、JST戦略的創造研究推進事業で、植物の受精率を高める糖鎖「アモール」を発見したと発表した。

研究グループは、トレニアという植物を用いて、初めてその物質の同定に成功した。この物質は植物に特有なアラビノガラクタンと呼ばれる糖鎖を持ち、さらに、この糖鎖の末端に存在する2糖だけでも活性を持つことを明らかにした。研究グループは、アラビノガラクタン糖鎖を持つ物質をアモール(AMOR)と名付けた。

また、アラビノガラクタンの末端糖鎖であるメチルグルクロン酸とガラクトースの2糖構造を化学合成したところ、花粉管が誘引物質に反応できるようになり、受精が達成されることが示唆された。

植物の糖鎖に特異的な2糖構造が植物細胞間の情報伝達活性を担うことが示唆されたのは初めてである。アモールの発見は、植物の受精効率を高めるための研究を大きく進展させるだけでなく、化学合成の手法により植物の糖鎖研究に新たな展開をもたらす可能性がある。

同研究成果は、4月7日(米国東部時間)に米国学術誌「カレントバイオロジー」のオンライン版で公開される。