2016年04月13日
理研、リチウムホウ素化合物の新合成法を開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所は13日、銅触媒を用いて、二酸化炭素(CO2)やホウ素化合物など入手容易な原料から、新奇な構造を持つ「リチウムホウ素化合物」を1段階で簡便に合成する手法を開発したと発表した。

CO2は温室効果ガスとして環境に悪影響を及ぼすことから、削減につながる有効な利用法の開発が期待されている。しかし、CO2は化学的に安定であるため、効率的かつ実用的に変換する方法は限られている。

一方、リチウムホウ素化合物は、スマートフォンやノートパソコンなどで使われる「リチウムイオン電池」の電解質として利用されている。だが、実用化に耐えられる、高純度のリチウムホウ素化合物を得るには、複雑な多段階反応を用いる必要がある。また、従来法では合成できる構造や組成も限られている。そのため、入手が容易な原料から、多様な組成や構造を持つリチウムホウ素化合物を効率的に合成する手法の開発が求められていた。

理研は今回、銅触媒を用いることにより、CO2、ホウ素化合物、アルデヒド類、リチウムアルコキシドといった複数の入手可能な原料から、1段階で多様なリチウムホウ素化合物を合成する新しい手法の開発に成功した。この手法を用いることで、従来のリチウムイオン電池の電解質とそれを溶かす溶媒が一体化した、新奇なリチウムホウ素化合物を合成することができた。

今回の研究成果は、溶媒を必要としない、新しいリチウムイオン電池の電解質の開発へ展開することが期待できる。また、これまで合成困難であったリチウムホウ素化合物を合成できることから、CO2の新たな有効利用法の開発にもつながると期待される。