2016年04月26日 |
NIMS・名大、発光効率よいシリコン蛍光体開発 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:物質・材料研究機構、名古屋大学 |
物質・材料研究機構(NIMS)は25日、名古屋大学との共同研究グループが、「生体の窓」と呼ばれる光が生体を透過しやすい近赤外の波長域(650-1000nm)において、従来より毒性が格段に低く発光効率の良いシリコン蛍光体を使ったバイオイメージングに世界で初めて成功したと発表した。 研究グループは、シリコンを主成分とする粒子を用いて、「生体の窓」の波長域に対して効率よく発光する蛍光体の開発に成功した。シリコンはこれまでもバイオイメージング用蛍光体として利用が検討されていたが、効率よい発光を得るには紫外光で励起する必要があり、また、発光効率も低いという問題があった。 研究グループは、コアである結晶シリコンのナノ粒子を炭化水素基と界面活性剤で覆う、新しいコア・ダブルシェル構造を考案した。二光子励起法を利用すると、結晶シリコンを近赤外光で効率よく光励起することができ、炭化水素基は発光量子収率を高める効果がある。さらに、界面活性剤で覆うことで水溶性を付与した。その結果、標的とする生体分子を効率よく標識できるようになり、生体透過性の高い波長域での蛍光バイオイメージングの実現につながった。 今後は、今回開発したシリコン蛍光体を利用し、生体深部の蛍光イメージングを目指す。 同研究成果の一部は、文部科学省と名古屋大学分子・物質合成プラットフォーム事業の一環として行われた。 同成果は、「Nanoscale」4月13日付誌オンライン版に掲載された。 |