2016年06月09日
京大など、液体ヘリウム不要高温超電導コイル開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:三菱電機、京都大学

京都大学は9日、白井康之教授(エネルギー科学研究科)と三菱電機、東北大学の共同研究グループが、液体ヘリウムが不要な高温超電導コイルをMRIミニモデルに搭載し、世界初の磁界強度3テスラでの撮像に成功したと発表した。

今後、2020年度までに実用機の半分サイズのMRIを試作するとともに、高温超電導コイルの設計・製造基盤技術を構築し、高安定磁界システムの実用化に向けた研究開発を推進する。また、2021年以降に実用機サイズのMRIコイル試作を行うなど、早期の事業化を目指す。

超電導には低温超電導コイル方式と高温超電導コイル方式があり、現在は液体ヘリウムを用いてマイナス269℃以下まで冷却する低温超電導コイル方式がMRIや一部の分析機器に適用されている。しかし、ヘリウムガスを事業採算に見合うコストで採取できるガス田は本来少なく、将来は枯渇する恐れがでている。

このため、液体ヘリウムが不要な高温超電導コイル方式の開発が期待されてきた。
共同研究グループは、経産省「高温超電導コイル基盤技術開発プロジェクト」の下で、液体ヘリウム不要の高温超電導コイルの開発を進めてきた。今回、NRIミニモデルで世界初の磁界強度3テスラでの撮像に成功した。

これにより、MRIでのより高精細な画像での診断を実現し病気の早期発見につなげる。磁界強度を必要とする他の電気機器への適用も期待できる。