2016年06月15日
東大・研究発表「骨が感染症免疫力を高める」
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東京大学

東京大学大学院の寺島明日香特任教授(骨免疫学)らの研究グループは15日、「骨が感染免疫力を高める」とする研究成果を発表した。

敗血症は細菌感染によって引き起こされる全身に及ぶ炎症で、発症早期には体を守るために免疫細胞から炎症性サイトカンが大量に放出されるが、その時期を過ぎると、新たな感染症にかかりやすくなる。免疫細胞の減少により感染しやすい状態が長時間続くことが原因と考えられる。発症早期の治療に加えて、発症後の免疫力低下のメカニズムを解明することが新たな治療法を開発する上で重要となる。

研究チームは、炎症によって骨髄内の骨芽細胞(骨を作り出す細胞)が障害を受けることが、敗血症後に生じる免疫細胞数減少の原因であることをつかんだ。敗血症では炎症反応によって骨芽細胞が障害を受けるため、サイトカインの1つであるインターロイキン7の量が減少し、リンパ球の産出が減ることで免疫力が低下した状態に陥ることが分かった。こうして、免疫力を高めるための骨芽細胞を標的とした、新しい治療法開発の可能性を提示した。

同研究は日本学術振興会、科学研究費補助金、科学技術振興機構(JST)などによる戦略的創造推進プロジェクトの一環として行われた。

研究成果は6月14日(米国東部時間)に国際科学誌「Immunity」オンライン版で公開される。