2016年07月07日

ミズノ、CNTを利用し炭素繊維材の衝撃強度を向上

【カテゴリー】：新製品/新技術 【関連企業・団体】：NEDO

NDDO（新エネルギー・産業技術総合開発機構）は7日、スポーツ用品大手のミズノ（東京本社：東京都千代田区、水野明人社長）がNEDOプロジェクト（低炭素社会を実現するナノ炭素材料実用化プロジェクト）で、カーボンナノチューブ（CNT）を利用することで炭素繊維強化プラスチック（CFRP）材料の衝撃強度を約13％向上させることに成功したと発表した。 これまで困難とされていたCNTとCFRPの複合化を、CNTの分散性向上によって実現したもので、ミズノでは初の応用製品としてゴルフクラブを製品化する計画である。同社は、NEDO助成事業期間内に検証を実施できていないラケット、バットなどスポーツ分野への展開を図るとともに、将来的には産業分野への応用拡大を目指す。 CNTに代表されるナノ炭素材料は、「軽量」、「高強度」、「高電導度」、「高熱伝導度」という特徴を有する日本が世界をリードする材料である。CNTとCFRPの複合化には、CNTの凝集による不均一化が課題であった。ミズノは、CNTの新規の表面処理技術を利用し、CNTの分子間力の緩和による分散性の向上を実現した。 また、CFRPは炭素繊維とマトリック樹脂の間に界面が存在するため、衝撃を受けた時に界面剥離が破壊起点となる。今回利用したCNTがマトリックス樹脂内に均質に分散し、CNTに付与された官能基がエポキシ樹脂と炭素繊維の間の強度を高めることに貢献し、界面剥離を抑制していると考えられる。 今回、ミズノは、このCNTを少量添加するだけでCFRPの特性を大きく向上できることを見いだした。実際にゴルフクラブを試作して製品レベルの試験を実施したところ、同じ肉厚の従来品に対して衝撃強度を約13％向上できた。