2016年07月11日
<世界の石化需給動向>(3)プロピレン・芳香族
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:経済産業省

■プロピレン
・プロピレン系誘導品の世界の需要(プロピレン換算)は2014年の88.7百万トンから20年には114.1百万トンに増加し、年平均伸び率は4.3%と見込まれる。アジアが年平均5.9%、欧州0.9%、北中南米2.2%、中東5.4%、アフリカ4.7%と増加、縮小が懸念されていたCISも3.0%拡大する見通し。とくに中国(7.9%)とインド(5.5%)が高い伸びとなる。日本の伸び率は0.2%の予測。

・プロピレン系誘導品の生産能力は、エチレン系の伸びに応じて増加する見通しだが、中東や北米のエタンクラッカーからはプロピレンの生産量が少ない、石炭化学やプロパン脱水素法(PDH)による生産計画を進める中国の占める割合が大きくなる可能性がある。
・2020年までの地域別生産能力(プロピレン換算)の平均伸び率はアジア44.7%、北中南米1.0%、欧州0.2%、中東3.0%と見込まれる。
・プロピレンモノマーの生産能力は14年末の114.6百万トンから20年末には142.1百万トンに増加する見通し。増加幅では中国の13.1百万トンが最大。次いで中南米5.1百万トンで、この2地域で約2/3を占める。

■芳香族
・芳香族の需要は中国、北中南米を中心に堅調な増加が見込まれるが、北米ではシェールガス開発による原料の軽質化が進むことにより、輸入超過傾向が強くなると見込まれる。2014~20年の需要の年平均伸び率見通しはベンゼン2.7%、トルエン3.3%、キシレン5%で14年の横ばい状況から回復する。一方、生産量の年平均伸び率はそれぞれ2.4%、2.6%、4.6%で、需要の伸びとほぼ同一水準で推移すると予測される。

■総括
・エチレン系誘導品の需給バランスは、供給超過幅が2011年にピーク(約7百万トン)に達した後、いったん縮小していたが14年は同レベルに復帰した。以降、供給増加が需要増加を上回り、17年には供給超過幅が10百万トン(世界総需要量の7.6%)に達する見通し。プロピレン系誘導品も現在、3百万トン前後の供給超過を続けている。供給超過幅は18年には4.3百万トン(世界総需要量の4.3%)に拡大が予想される。
・世界の石油化学製品は基本的には供給超過にあり、長期的にはこの状況が拡大に向かう見通しだが、今後の世界経済の動向やプラント増設の進捗によって変わり得る。また中東、中国、インド生産拡大が継続する中で、世界全体の需給に与える影響も大きくなる点に留意が必要である。(注:経済産業省の「世界の石油化学製品の今後の需給動向」シリーズを終了します)


ニュースリリース

「世界の石油化学製品の今後の需給動向」(2001~2020年)
http://www.meti.go.jp/press/2016/07/20160708002/20160708002-1.pdf