2016年07月11日
理研、チタンに細胞活性化機能の付与成功
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所は11日、杏林大学薬学部、中国科学院長春応用化学研究所との国際共同研究グループが、人工臓器の生体材料として使用されるチタンの表面に、ムラサキガイ由来のバイオ接着成分を固定化することで、チタンに細胞を活性化させる機能を付与することに成功したと発表した。

ムラサキガイなどの貝類は、水中でも岩場に接着することができる。これは、自身が分泌する接着タンパク質による作用である。ムラサキガイの接着性の源となるのがドーパ(DOPA)と呼ばれる化合物。DOPAは、天然アミノ酸のチロシンに水酸基がひとつ付加した物質で、チロシンよりも水素結合が強くなるため、さまざまな物質に接着できると考えられる。

国際共同研究グループは、遺伝子組換え技術と酵素法によって、成長タンパク質(IGF-1)の末端にムラサキガイ由来の接着性ペプチドをつなげることに成功した。この新しいタンパク質の効果を調べたところ、金属材料のチタンに強く結合し、細胞増殖を活性化する効果を持つことがわかった。
この成果は、今後、再生医療や医療機器開発などの分野で貢献することが期待される。