2000年09月07日
シェル、TPE事業を米リップルウッドに売却
一連の事業再編計画を完了
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:JSR、シェルケミカルズ

 ロイヤル・ダッチ/シェル グループはロンドン現地時間の6日、同社が世界で展開しているTPE(熱可塑性エラストマ-、商品名:クレイトンポリマー)事業について、米国ニューヨークに本拠地を置く民間投資会社リップルウッド・ホールディングL.L.C.の関連会社に売却することで原則合意した、と発表した。これにともないシェルは、1998年12月に発表した一連の事業売却計画を完了したことになる。
 シェルのクレイトンポリマーは、接着剤、シーラント、アスファルト改質剤、靴底、成形コンパウンドなど広範な用途に使用されるTPEで、米国のほか、オランダ、ドイツ、フランス、ブラジル、日本(JSRとの合弁会社JSRシェルエラストマ-)に生産拠点を有している。また世界規模の販売・マーケティングネットワークと研究開発施設を有し、グループ合計で約6億ドルの売上高がある。事業売却額および契約の詳細については明らかにされていないが、米国以外の事業の売却、および世界規模の取り引きの完了は、社員代表との正式な協議の終了と、関係当局の承認後となる。
 シェルケミカルズのポートフォリオ・タスクフォースのリーダーであるN.ガスケル氏は、「クレイトンポリマー事業の売却により重要な段階に到達できたことをうれしく思う。同事業は一連の売却計画の中でも主要なものであり、売却が完了すれば開始後2年を待たずに大規模な事業再編プログラムが終了することになる。このプログラムにより、化学部門の投下資本の削減額は、当初目標としていた50億ドルを上回る57億ドルになる。我々はこの事業を独立して運営できるグローバルな組織にして、同時に当初計画していた期間内に、秩序を維持した競争力のある売却プログラムを完了することができた」と語った。
 また、リップルウッド社のインダストリアル・パートナーであるJ.A.ジョージス氏は、「クレイトンポリマー事業部門は素晴らしい組織であり、我々はこの事業が次の成長段階へ進もうとするときに参加することができて喜んでいる。世界有数のTPEメーカーに築き上げた、この力強い伝統を、今後も維持していくことができるものと期待している」と語った。
 シェルの化学品事業再編計画にともなって売却された事業にはこのほか、PVC(塩ビ樹脂)、PS(ポリスチレン)やEPS(発泡ポリスチレン)、BPA(ビスフェノールA)、ECH(エピクロルヒドリン)、エポキシ樹脂、欧州のPET(ポリエチレンテレフタレート)、オランダのウレタンシステムハウスなどの事業がある。
 なおリップルウッドは、1995年に設立された民間の投資資金運用会社で、27億ドルの資金を運用、現在自動車販売、食品製造、技術、製造、化学、教育支援などの分野で6件のパートナーシップを有している。また昨年には、新生銀行(旧長期信用銀行)の買収で投資コンソーシアムの中心的役割を果たしている。