2016年08月22日
名大など、世界初、DNA増幅過程を無標識検出
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:名古屋大学

名古屋大学大学院の馬場嘉信教授(工学研究科)らの研究グループは、北海道大学大学院及びストックホルム大学との国際共同研究で、世界で初めて、ナノ流体回析格子でDNAの増幅過程を無標識検出し、結核菌やヒトパピローマウイルスの超高感度診断を可能にしたと発表した。

現在の細菌・ウイルスの解析技術では、菌体やウイルスの種類を同定するためにDNAを増幅し、その増幅過程を蛍光分子で観察する必要がある。これは、DNAの大きさが非常に小さいために、蛍光分子等の標識となる分子なしでは、増幅過程を直接観察することができないためだ。

今回の共同研究では、ナノ流体回析格子を開発し、このナノ流体回析格子によって生み出される回析光を検出することで、DNAの増幅過程を無標識で検出することが可能であることを発見した。このナノ流体と回析光を利用した新しい検出原理を利用することによって、超微量の結核菌やヒトパピローマウイルスのDNAをわずか2分で検出することに成功した。

今後、この技術を展開することによって、超微量の病原菌や病原性ウイルスを簡便に検出することが可能になり、人の安心・安全を見守る科学技術へと発展することが期待される。
この研究成果は、英国科学誌「Scientific Reports」の8月17日午前10時(英国時間)に公開された。


<用語の解説>
■回折格子とは :構造体パターンによる回析を利用して干渉縞をつくるために使用される光学素子の総称。