2000年09月06日
三菱化学、汎用エンプラで世界シェア10%獲得目指し今後も積極投資
PCは三養化成とTPCC倍増/PBTは四日市と東南アジアで新設へ
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:三菱エンジニアリングプラスチックス、三菱化学、三菱ガス化学

 三菱化学は、汎用エンジニアリングプラスチックにおける世界シェアで10%以上の獲得を目指し、今後も積極的に投資を検討していく方針だ。PC(ポリカーボネート)では、2002~2003年に韓国・三養化成およびタイ・ポリカーボネート(TPCC)を倍増、PBT(ポリブチレンテレフタレート)についてもGEプラスチックスとの合弁により、2002年と2005年に四日市とアジア地域の2カ所で新設を検討している。さらにナイロン6樹脂についても2003年頃をめどに能力の拡大を模索して行く考え。
 同社のエンプラ事業は、PC、PBT、ナイロン6樹脂が3つの大きな柱となっており、コンパウンド生産および販売については三菱ガス化学との折半出資会社である三菱エンジニアリングプラスチックス(MEP)が行っている。三菱グループでは、汎用エンプラ業界で生き残っていくためには、世界シェアの10%以上を獲得することが必須と見ており、今後需要に応じて積極的に投資を検討していくことにしている。
 具体的には、PCについては現在も黒崎で新製法による年産2万トン設備が試運転中であるほか、三菱ガス化学が2002年初めをめどに大阪の2万5,000トン設備とのスクラップ・アンド・ビルドにより鹿島で7万トン設備の建設計画を進めているが、これに続く計画として三菱化学と韓国・三養社との合弁会社である三養化成で早ければ2002年初頭にも倍増、またタイの関連会社であるTPCCについても2003年をめどに能力の倍増を検討しており、実現すれば三菱グループのPC生産能力は36万トン体制に拡大する。
 さらに2004~2005年には、グローバルな供給体制の構築を目指し、すでに販売網が整備されつつある欧州、消費地立地の観点から中国への進出構想も浮上しており、継続して事業を拡大、生き残りを図る。
 またPBTについては、GEプラスチックスとの共同事業化計画を進めており、今秋中には方針を決定する。現在の所、四日市およびシンガポールをはじめとした東南アジア地域の2カ所に各年産6万トン規模の設備を建設する考えで、1基目は2002年後半、2基目は2005年頃の完成・稼動をイメージしている。これらの完成により四日市の既存1万4,000トン設備との合計で13万4,000トン体制を構築する。同社では、主原料1,4BD(ブタンジオール)をはじめ、THF(テトラフロロエチレン)、PBT、PTMGで形成されるコンプレックスとしての総合力と副生原料のリサイクルなどによる優れたコスト競争力が強みになると見ており、原料の新増設計画と連動してPBT計画を進めていく。
 このほかナイロン6樹脂は、現在黒崎(年産3万トン)、台湾(100%子会社の大洋ナイロン、1万1,000トン)で合計4万1,000トンの生産能力を有している。ナイロン6樹脂は、PCやPBTほどではないものの、年率4%程度の成長が続いていることから、2003年頃をめどに2~3万トン増強したい考えだ。ただし、現状では対応する原料CPL(カプロラクタム)の計画がないため、今後その可能性を探っていく。

http://www.c-nt.co.jp/news/mep_pc.html">三菱グループのポリカーボネート設備計画