2016年08月29日
東大など、新たなリチウムイオン伝導性液体を発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:科学技術振興機構、東京大学

東京大学大学院の山田通裕貴助教と山田淳夫教授(化学システム工学専攻)、科学技術振興機構の袖山慶太郎研究員らの研究グループは29日、常温で液体のリチウム塩水和物である「常温溶融水和物(ハイドレートメルト)」を発見したと発表した。

水と特定のリチウム塩2種を一定の割合で混合することで、一般的には固体となるリチウム塩二水和物が常温で安定な液体、ハイドレートメルトとして存在することを見出した。発見したハイドレートメルトは、通常1.2Vの電圧で水素と酸素に分解する水を使っているにもかかわらず、3V以上電圧をかけても分解しないことが分かった。
これを電解液に応用することで、従来特殊な有機溶媒を用いた電解液でしか成しえなかった超3Vリチウムイオン電池の可逆作動に“水”を用いた電解液で初めて成功した。

リチウムイオン電池の電解液に使われている有機溶媒が不燃・無毒・安価な水に置き換わることで、今後、圧倒的に安全かつ安価な新型電池の開発につながり、研究が加速することが期待される。

同研究は日本学術振興会科学研究費補助金による支援を受けて行った。

研究の詳細は8月26日付の「Nature Energy」電力版に掲載された。