2016年08月31日
理研と三井化学分析センター、ポリマー末端基の新測定法開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:三井化学、理化学研究所

理化学研究所は31日、三井化学分析センター(本社:千葉県袖ケ浦市、三戸邦郎社長)との共同研究グループが、合成高分子(ポリマー)の末端基や部分構造をNMR(核磁気共鳴)装置を用いて効率よく測定する方法を開発したと発表した。PET(ポリエチレンテレフタレート)に含まれる微量な構造をNMRで測定可能にした。

共同研究グループは、モデル化合物を使用した既存の構造解析方法とは異なるアプローチで、ペットボトルなどに使用されているPETの末端基と部分構造を含む構造解析に取り組んだ。まず、主構造や溶媒に由来する複数の信号を消去する方法をWET-NMR法に応用し、超高磁場900MHzNMR装置の利用により、高分解能および高感度で極微量の末端基と部分構造の信号を観測した。

さらに、この手法を2次元NMRや3次元NMRに応用し、PETの末端基と部分構造を詳細に構造解析する方法を開発した。その結果、製造過程の熱分解により微量のビニル基が生成されていることが分かった。この手法は、ポリマーの品質不良の発見や、より高品質のポリマー開発になどに役立つことが期待される。

この研究成果は、米国化学会(ACS)誌「Macromolecules」(8月9日号)に掲載された。