2016年09月16日
農研機構など、光で農作物の天敵を集め駆除 新開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:農林水産省

農業・食品産業技術組合研究機構(農研機構)は、筑波大学及びシグレイ(本社・茨城県土浦市、鈴木孝洋社長)と共同で、紫色光照射で農作物の天敵を畑に誘引することにより、農業害虫であるアザミウマを駆除する技術を開発した。ナスの露地栽培において、紫色光を1日3時間照射するだけで、天敵であるヒメナカムシ類が畑に10倍集まり、害虫のアザミウマの数が半減する成果をあげた。

アザミウマは、ナス、トマト、イチゴなど多くの農作物に害を与える大害虫だが近年、農薬の効果が薄れてきたことで大きな問題となっている。農研機構生物機能利用研究部門は、シグレイ社、筑波大学と共同で、農薬を使う代わりに「光を使って天敵を集める」ことにより、アザミウマを防除する技術を開発した。

アザミウマの天敵「ナミヒメハナカムシ」が紫色の光に強く誘引されることを明らかにした。過去の知見から、アザミウマは紫色の光に誘引されないことが知られている。そこで、ナスの露地栽培において紫色の光を照射したところ、照射なしの場合に比べて、天敵のナミヒメハナカムシを含むヒメナカムシ類の数が10倍に増加した。
一方、害虫のアザミウマ数は半分以下になり、紫色光照射の高い防除効果が確認された。
現在、同防除技術について製品化の検討が進められており、2年後の商品化を目指している。それに先立ち、シグレイ社では「光利用型天敵農業サービスバックお試し版」の提供を9月から開始する。