2016年09月20日
農水省、植物品種の海外流出防止に着手
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:農林水産省

農林水産省は、わが国の農産物輸出力強化の一環として近く「植物品種等海外流出防止緊急対策事業」に着手する。植物品種の海外での知的財産権保護により、日本の植物品種の海外流出を防止する。2016年度補正予算で同事業費として3億円を計上した。

同省は今年5月に策定した「農林水産業の輸出競争力強化戦略」で、輸出環境の整備の柱として、海外での知的財産権の取得支援を位置付けた。とくに、高品質な品種は、海外に流出し無断で増殖されないよう対策を講じる必要がある。

だが、植物品種の海外登録は、国内販売開始後4年(果樹は6年)と申請期限が限られているため、育成権者の保護のために必要な申請期間が経過してしまった品種が多数ある。この場合、その品種の海外での栽培を差し止めることができないことから、それに該当する農産物の輸出の妨げになっている。

同省は、海外での育成者権保護の取り組みを行うことが急務と判断、「植物品種等海外流出防止緊急対策事業」を今年度補正予算で実施することにした。具体的には、輸出重点国等で品種登録出願を行うことがわが国農産物の輸出力強化につながるものについて、第三国での栽培を防止するための海外出願に係る経費の支援を行うとともに、当該国への出願のためのマニュアルの作成、相談窓口(弁護士、弁理士等で構成)の設置を行う方針。これらの実施により、農産品の輸出拡大が可能とみている。当初計画では、7451億円(2015年)の輸出額を2020年に1兆円達成を目指していたが、今回の緊急対策事業により1兆円達成が1年前倒しできると判断している。