2016年11月15日
理研、過剰な恐怖を抑制する脳内ブレーキ解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所は15日、小澤貴明客員研究員(脳科学総合研究センター)らの国際共同研究チームが、ラットを用いて、あらかじめ恐怖を予測すると過剰な恐怖を抑制するための脳内ブレーキが働くというメカニズムを解明したと発表した。

恐怖体験に関する記憶は、危険の予知など人類の生活に必要な能力だが、必要以上に強い恐怖の記憶は、ストレスの一因となる。これまで過剰な恐怖を抑制するための脳の働きについての実態はほとんど明らかになっていなかった。

今回、国際共同研究チームはラットを使って弱い電気ショックを与、恐怖体験の事前予測による過剰な恐怖学習の抑制について調べた。その結果、ラットが一度恐怖を体験し、恐怖の到来を事前に予測できるようになると、一連の脳領域が活性化し、さらなる恐怖記憶の形成を防ぐ働きをすることを発見した。

過剰な恐怖に対する“脳内ブレーキメカニズム”は、人類にとっても日常のストレスコントロールや不安障害などの精神疾患メカニズム理解につながると期待できる。

同研究は、国際科学雑誌『Nature Neuroscience』オンライン版(11月14日付)に掲載された。