2016年12月14日
理研、植物の青色光に特異な伸長化合物を発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所は14日、大窪恵美子特別研究員(環境資源研究センター)らの研究チームが青色光受容体のクリプトクロムが植物の細胞伸長を抑制する効果を阻害する低分子化合物を分離し、直接クリプトクロム1(CRY1)に結合することで阻害効果を示すことを明らかにしたと発表した。

光は、植物の光合成によるエネルギー源だけでなく、環境の情報を感知するための情報源としても重要な役割を担っている。クリプトクロムは、植物が持つ光受容体の中で青色光を受容して、脱黄化、気孔の開閉、開花時期、避陰反応を制御するタンパク質。この受容体の作用が制御できれば、これら種々の反応の制御が可能になる。

今回研究チームは、青色光が芽生えの細胞伸長を抑制することに着目した。モデル植物のシロイヌナズナの芽生えを用いて、この抑制効果が起こらなくなる低分子化合物を約4000の中から探し出し「3B7N」と名付けた。この化合物は、青色光のみの影響を抑制し、赤、遠赤外光には影響を及ぼさないことが分かった。また、CRY1に特異的に結合することで、青色光に特異的な芽生えの伸長成長阻害を回避しているも明らかになった。
今後、植物の成長や開花、バイオマスの増収につながると期待できる。

同成果は、日本植物生理学会発行の国際科学雑誌「Plant and Cell Physiology」最新号に掲載された。