2016年12月15日 |
理研、シリコン基板上に窒化アルミ 結晶を製膜 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:理化学研究所 |
理化学研究所は15日、光量子工学研究領域の平山秀樹氏らの研究チームが、シリコン(Si)基板上に窒化アルミニウム(AIN)半導体の高品質結晶を製膜することに成功したと発表した。従来よりも安価、高効率で発光する深紫外LEDの実現につながる成果としている。 深紫外LED(波長200-350ナノメートル)は、殺菌・浄水、空気清浄をはじめ、医療、樹脂硬化形成・接着、印刷など非常に広い応用分野での利用が期待されている。しかし、これまでの深紫外LEDは、LED内部で発光した光を外部に取り出す効率が低く、かつ高価なため、普及が進んでいない。製造コストを下げるには、安価で大面積なSi基板上に半導体材料であるAINを製膜することが考えられるが表面にクラックが発生しやすいなどの問題があった。 研究チームは今回、加工シリコン基板上に厚膜2マイクロメートルのAINの結晶成長を行うことにより、膜表面のクラック発生を防ぐことに成功した。貫通転移密度が大幅低減し、発光層の発光効率の向上も可能となった。 今後、安価・高効率な深紫外LEDが実現すれば、殺菌・浄水、空気清浄をはじめ、皮膚治療などへの医療用途や農作物の病害防止、紫外線硬化を用いた樹脂成形、紫外接着、印刷・塗装、コーティングなど幅広い分野での応用普及が期待できる。 同研究成果は英国のオンライン科学雑誌「Scientific Reports」(11月7日付)に掲載された。 |