2016年12月20日
産総研、低濃度ウイルス検出バイオセンサー開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:産業技術総合研究所

産業技術総合研究所は20日、下水の二次処理水などの夾雑物を含む試料中のごく少量のウイルスなどのバイオ物質を、夾雑物を除去しなくても高感度に検出できる外力支援型近接場照明バイオセンサー(EFA-NIバイオセンサー)を開発したと発表した。

開発したEFA-NIバイオセンサーは、検出対象のバイオ物質に磁気微粒子と光を散乱する微粒子を付着させて、磁石と近接場光により「動く光点」を作って検出を行う。従来法にはない「動き」という識別方法により、夾雑物が多い試料から極めて低温度のバイオ物質を簡単な操作だけで検出できる。
この手法による、都市下水の二次処理水200マイクロリットルにノロウイルス様粒子約80個を混入させた試料中からのウイルス様粒子検出に成功し、洗浄工程を省略しても従来法より数ケタ高い感度で検出できることが示された。
EFA-NIバイオセンサーは、既存の技術では検出が難しかった環境中のごく微量のウイルスを簡便に検出でき、ウイルス感染予防への貢献が期待される。

同研究成果は英国科学誌「Scientific Reports」電子版に12月19日(英国時間)に掲載される。