2016年12月21日
ARPChemなど、自己再生光触媒シート開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:NEDO

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は21日、NEDOプロジェクトで人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)と東京大学、東京理科大学が、助触媒の自己再生機能を有する光触媒シートを開発したと発表した。その結果人工光合成の社会実装に向け重要な酸素発生機能の寿命を従来の20時間程度から1100時間以上へ飛躍的に向上させることに成功した。

ARPChemは国際石油開発帝石、住友化学、TOTO、ファインセラミックスセンター、富士フイルム、三井化学、三菱化学の各社で構成。NEDOとARPChemは、「二酸化炭素原料化基幹化学品製造プロセス技術開発(人工光合成プロジェクト)」において、太陽エネルギーを利用して光触媒によって水から得られるクリーンな水素と、二酸化炭素を原料とした基幹化学品(C2-C4オレフィン)製造プロセスの基盤技術開発に取り組んでいる。

今回、開発チームは、粒子転写法プロセスにより酸素発生機能を有する光触媒シートを開発した。さらに、この光触媒シートを水中に入れた場合、ニッケル鉄混合酸化物が光触媒表面に固定化され、この光触媒の助触媒として機能し、光触媒表面から脱落、溶解しても、自己再生されることを見いだした。その結果、従来は助触媒の脱落、溶解により、酸素発生機能の寿命が20時間程度であったものを、1100時間以上という長寿命を達成することに成功した。
今後、光触媒の長寿命のための手法開発をさらに進めていくとともに、2021年度末の目標である太陽エネルギー変換効率10%の達成を目指す。

同研究成果は英国科学誌「Nature Energy」12月19日付オンラインに掲載された。