2016年12月27日
京大と大ガス、太陽電池に熱エネ集中変換 成功
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:京都大学

京都大学は27日、野田進・工学研究科教授と大阪ガスとの共同研究チームが、熱エネルギーを太陽電池が効率よく発電できる波長の光に変換することに初めて成功したと発表した。これにより、熱エネルギーを利用した発電技術の効率向上が期待される。

一般に、物質を加熱すると物質内部の電子の熱運動が激しくなり、さまざまな波長の光を放出(熱輻射)するようになる。熱輻射の一種である太陽光も、可視光線だけでなく、紫外線や赤外線などさまざまな成分を含んでいる。一方、一般的な太陽電池が効率よく電気に変換できる光は、太陽光の広い波長成分のごく一部、可視光線と近赤外線の境界付近の光のみで、他の成分は有効に利用できない。そのため、一般的な太陽電池の発電効率は20%前後にとどまっている。

今回、共同研究では、半導体シリコンを用いてフォトニックナノ構造を形成することで、高温にしたときに太陽電池が効率よく発電できる波長の光だけを放出する熱輻射光源を開発することに成功した。太陽光を集光して本光源を加熱した場合、集められた光鉛エネルギーのすべてが太陽電池にとって有効に利用できる光に変換されて放出される。そのてめ、その光を太陽電池で受けて発電すると40%以上の非常に高い効率が期待される。また、熱源は太陽熱に限られないため、燃焼熱等を用いても同様に高効率な発電を行うことができる。

この成果は、12月24日に米国科学雑誌「Science」の姉妹誌である「Science Advances」に掲載された。