2017年01月04日
経産省・糟谷局長「IoT活用など積極支援」
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:経済産業省
糟谷製造産業局長

経済産業省の糟谷敏秀製造産業局長は2017年の年頭所感で、「これからは第四次産業革命への対応がカギになる」とし、IoTやAI等の技術を用い、新たなビジネスモデルを創出することが重要だと指摘、「スマート工場など付加価値向上に向けた意欲的な取り組みを積極支援する」と強調した。

               ◇          ◇
     
【年頭に寄せて】経済産業省 製造産業局長 糟谷 敏秀

 平成29年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
我が国経済は、この4年間で名目GDPは44兆円増加し、国の税収も15兆円増えました。雇用は110万人近く拡大し、企業収益は過去最高水準を記録すると共に、3年連続高水準の賃上げを達成しました。この好循環を加速し、日本経済を成長軌道に乗せていく必要があります。
特に、少子高齢化に伴う働き手不足等、困難な構造問題に直面する我が国にとって、イノベーションを喚起し、企業の生産性向上を促し、競争力の強化を図っていくことが必要です。
そのためのひとつの鍵は、第四次産業革命への対応です。様々な分野において、IoTやAI等の技術を用い、新たなビジネスモデルを創出し、これまで充足されなかったニーズに対応することが可能になります。製造産業局においては、スマート工場や、自動走行、ロボット・ドローン等を活用した付加価値の創出を推進します。
第一に、スマート工場に向けた意欲的な取組みを支援します。付加価値が「もの」そのものから「サービス」「ソリューション」へ移る中、製造企業は、単にいい「もの」を作るだけでは生き残れなくなっています。「もの」だけでなく、市場のニーズに応じた「サービス」「ソリューション」を提供できる「ものづくり+(プラス)企業」となることが期待されます。製造産業局では、「スマート工場」実証事業により、企業をまたぐデータ共有により付加価値を創出する先進事例の創出を図ります。また「スマートものづくり応援隊」の体制整備等を進め、中小企業による第四次産業革命への対応を支援します。昨年4月に共同声明を締結したドイツ等との連携を深め、国際標準化等の環境整備を進めます。
第二に、自動走行については、昨年6月の「自動走行ビジネス検討会中間とりまとめ」において、将来像を共有すると共に、重要な「協調領域」として地図など8分野を定めました。今後、社会実装に向けて、より具体的な取組を進めます。トラック隊列走行の公道実証を開始し、無人自動走行による移動サービスの具体的な実証場所を選定し、将来の事業化を見据えた検討を加速します。
第三に、工場、介護等、多様な現場での活用が期待されるロボットについては、特に、普及のボトルネックとなっているシステムインテグレータの育成策を強化します。厚労省と協力し、介護現場における導入効果を検証し、介護報酬への反映等、導入円滑化を図ります。また、ドローンについて、性能評価基準の策定を進めるほか、運航管理システムの開発に着手します。
「成長と分配の好循環」を実現させるためには、賃上げ等の環境整備を進め、アベノミクスの果実を全国津々浦々に届けていくことが重要です。中小企業の取引条件を改善するとともに、サプライチェーン全体で付加価値を生み出す取組を進める必要があります。
昨年末、経済産業省では、下請取引の適正化を徹底するため、下請法の運用基準の改正等を行いました。これらの取組を先導する業界の方々には、自主行動計画の策定とその積極的な実施をしていただけることになりました。これらの取組を本年も引き続き進めます。
新たな保護主義が蔓延する中、グローバルなビジネス環境整備に向けた努力を続けることが必要です。自由貿易から最も恩恵を受けてきた我が国として、経済連携協定を推進するとともに、国際的な過剰供給問題や乱発されるADやSGへの対応に引き続き全力で取り組んでまいります。
末筆ながら、本年の皆様の御健康と御多幸を、そして我が国化学産業の着実な発展を祈念いたしまして、新年の御挨拶とさせていただきます。平成29年元旦