2017年01月20日
理研、人工マンガン触媒の水分解経路を可視化
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所は19日、生体機能触媒研究チームの中村龍平チームリーダーらの国際研究グループが非貴金属系の水分解触媒で高い活性を示す人工マンガン触媒が「中性の水から電子を引き抜き分解する経路」の可視化に成功したと発表した。
自然界で水資源の利活用を最も効率的に行っているのは植物などの光合成生物だ。植物は4つのマンガン原子(Mn)を含む酵素(生体マンガン4核酵素)を用いて、水から電子と水素イオン(プロトン)を引き抜いて利用することで、二酸化炭素からデンプンを作り出している。
しかし、人工的に合成したマンガン水分解触媒(人工マンガン触媒)の多くは、水素イオ濃度の中性領域において活性が著しく低いという問題があった。また、これまでの水分解触媒開発は、明確な設計指針がないまま試行錯誤的に行われてきた。
共同研究グループは、水分解の反応経路の特定が重要と考え、人工マンガン触媒によって進む水分解反応機構の可視化を試みた。その結果、ナノ粒子表面における化学種の変化や、人工マンガン触媒が中性の水から電子を引き抜き分解する経路の可視化に成功した。

この研究成果は、米国の科学雑誌「Joumal of the American chemical Society」オンライン版(日本時間1月18日)に掲載された。