2017年02月03日
東レ、塗布型半導体単層CNTで世界最高移動度
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東レ

東レは2日、半導体型単層CNT(カーボンナノチューブ)において、塗布型半導体として世界最高となる従来比2倍の移動度81cm2/Vsを達成したと発表した。これによりIoT時代に必須となる通信速度の長いICタグ、UHF帯RFID等の高機能デバイスを、塗布技術で安価に製造できる可能性を世界で初めて示した。

単層CNTは、半導体として高いポテンシャルを有しており、ディスプレイ用の薄膜トランジスタ(TFT)、ICタグ、センサー等への応用を目指した開発が進められている。この単層CNTは、半導体型が3分の2、金属型が3分の1の混合物として合成されるが、近年は半導体型のCNTをより高純度で取り出す技術開発が進んでいる。だが、純度が高いCNTほど凝集する力が強く、均一な分散には外部から強いエネルギーを加える必要があり、CNTがダメージを受けてしまうという問題があった。

東レは、半導体ポリマーを単層CNTの表面に形成することで、導電性を阻害することなく単層CNTの凝集を抑制する技術を深化させた。半導体純度の高い単層CNTにより強く作用する新しい半導体ポリマーを見つけ、より小さいエネルギーで単層CNTを均一分散できる方法を見いだした。現在ディスプレイ等で用いられているアモルファスシリコンの約80倍となる移動度81㎝2/Vsを達成した。

今後は塗布型の特徴である「低コスト」を生かして、小売・流通や介護分野で使用されるIC、センサーなどへの展開を図る。あらゆる商品に貼り付けられる低コストタグや、微量成分の検出が可能なバイオセンサー分野に向けた技術開発を目指す。

研究は、NEDOプロジェクト(低炭素社会を実現するナノ炭素材料実用化)の一環。2月15-17日に東京ビッグサイトで開催されるnedo tech2017で詳細発表する。