2017年02月21日

東北大と阪大、廃棄物から高性能LIB負極材料開発

【カテゴリー】：新製品/新技術 【関連企業・団体】：東北大学、大阪大学

東北大学の京谷隆教授（多元物質科学研究所）、大阪大学の小林光教授（産業科学研究所）らの研究グループは、産業廃棄物のシリコン切粉を高性能なリチウムイオン電池負極材材料にリサイクルする方法を開発したと20日発表した。 半導体産業や太陽電池用に大量のシリコンウエハが生産されているが、生産量とほぼ同量の切り屑（シリコン切粉）が発生し、産業廃棄物となっている。今回研究グループは、このシリコン切粉を薄いナノフレーク状に粉砕すれば、高容量で長寿命なリチウムイオン電池の負極材料になることを見出した。 このナノフレーク状シリコンは、炭素と複合化することでさらに性能と寿命が向上し、従来のリチウムイオン電池に使用される黒鉛の約3.3倍の容量（1200mAh/g）を、充放電を800回以上繰り返しても維持できることが分かった。 全世界でのシリコン切粉の発生量は、リチウムイオン電池負極材料の世界需要を上回っている。 産業用廃棄物を原料に用いることに加えて、シリコン切粉のナノフレークへの粉砕や、その後の炭素との複合化には大量のシリコンでも処理できる簡便な方法を用いており、リチウムイオン電池への実装につながると期待される。 同研究の成果は、2月20日（英国時間）に英国科学誌「Scientific Reports誌」オンライン版に掲載された。