2017年02月28日 |
NIMSと阪大院、神経損傷治療用ナノファイバーメッシュ開発 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:物質・材料研究機構、大阪大学 |
物質・材料研究機構(NIMS)と大阪大学大学院は27日、損傷した末梢神経に直接巻いて再生を促進し、機能を回復できる神経損傷治療用ナノファイバーメッシュを開発したと発表した。 このメッシュには、神経系を正常に機能させるために重要なビタミンB12を含有しており、非常に柔軟かつ生体内で分解する性質を有している。このメッシュを坐骨神経を損傷させたラットに移植したところ、神経の再生が促進され運動機能・感覚機能が回復した。現在、手根管症候群などの末梢神経障害の治療デバイスとして臨床応用を検討している。 今回、研究チームは、損傷した神経を直接つつみ、局所でビタミンB12(メチルコバラミン)を修復まで放出し続けられる特殊なメッシュを開発した。メッシュの繊維サイズを細かく(数百ナノメートル)し、結晶化度を下げるなどの工夫により、神経に直接巻きつけることが可能なほど柔軟な素材となった。このメッシュは、生分解性プラスチックでできている。最終的には体外に排出される仕組みだ。実際にこのメッシュを坐骨神経損傷ラットに移植したところ、術後6週間で神経の軸索が再生され、運動機能と感覚機能の回復が確認された。 現在、製薬企業と共同で、毛根管症候群などの末梢神経障害の治療デバイスとしての臨床応用を協議している。 同研究成果は、Acta Biomaterialia誌の2017年4月号(2月5日)にオンライン掲載された。 |