2017年03月15日
産総研、印刷法で有機系「熱電変換材料」開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:産業技術総合研究所

産業技術総合研究所は14日、末森浩司主任研究員らの研究グループが印刷法によって形成できる高性能な有機系熱電変換材料を開発したと発表した。身の回りにある膨大な量の低温排熱(200℃以下)を熱電変換し、有効活用するというNEDOプロジェクト(未利用熱エネルギーの革新的活用技術開発)の一環。発電性能を示す出力因子で世界最高レベルの600μW/mk2を実現した。

導電性高分子材料として、カーボンナノチューブなどが軽量で柔軟性を有し、レアメタルを含まないという特徴を持つ点に着目した。また低コストで高い生産性が期待される印刷法で材料形成が可能で、従来の無機熱電変換材料を用いた場合に比べて利便性に優れ低コストで製造できると考えた。

研究の結果、典型的な絶縁体高分子材料であるポリスチレンをカーボンナノチューブと混合させることでゼーベック係数(温度差に比例した電圧が発生する現象)が向上することを見出した。
実用化できるようになれば、周辺環境に存在する排熱や電磁波、光などの微小なエネルギーを収穫して電力に変換することが可能となる。低温の排熱を熱源変換し、ここで得られた電力をセンサなどの低消費電力な電子機器を駆動することが期待される。